去年の話ですが、クリス・マーティンがBeats MusicのインタビューでGhost Storiesの一曲一曲を詳しく解説していました。興味深い内容だったので時間がある時に少しずつ訳してみようと思います。一曲一曲全部やりたいのですが、最初からやったら多分途中で脱落すると思うので、リクエストのあった曲からやっていきます。
その前に、今日はアルバム全体のお話。クリス一人で語ってるのでなんとなく「ですます」調にしたんだけど、なんか慣れない。不評だったらやめます(笑)
クリス : Ghost Storiesを説明するとしたら、挑戦や試練を乗り越えて最終的に少し強く幸福になれる旅のようなものです。そのためのツールキットとしてではなく、喪失であったり挑戦であったり、そういうめちゃくちゃなことが起こっているということを受け入れる方法なんです。そういうものに自分を壊させない、自分を形作らせるんです。
日本に金繕いという芸術形式があって、割れてしまった器を金で修復すると、最終的には前よりももっと美しくなります。そういうことを歌いたかったんです。
バンドのメンバーに、少し小さめの、もっと親密なものにしてもいいかどうか尋ねました。歌がどこから送られてくるのか分からないけど、どこからか送られてきていて、出てこようとしているものがもっと親密でパーソナルなものだったからです。
それからタイトルのGhost Storiesですが、いつでもタイトルのリストを書くのが好きなんです。Ghost Storiesはミステリアスな雰囲気にぴったりだと感じられました。うーん、そういうことを説明するのは難しいんですが、ただ正しいと思えたんです。
10年前に、いやもっと前か。12~14年前?に、自分には歌詞を書くのにシェイクスピアのような才能はないんだから、ただ正直なものを書くようにしようと決めました。自分にはそれしか出来ないので。だから時が流れても、そうしようと努力しています。
特にこのアルバムでは、自分の人生で色々なことを経験しているところで、友人たちもそういうことをくぐり抜けていて、でたらめなことを歌いたくなかったんです。それが心に響かない人もいることは分かっています。でも他の人の心には響くかもしれない。年をとるにしたがって、僕たちはいっそう本能的直感を信じるようにしています。
明らかに、記者や批評家の中にはこれが好きじゃない人もいます。でもそれでいいんです。彼らの意見は大歓迎だけど、自分が歌っている事柄を疑うことはあり得ません。一日を乗り越えるのに歌うことが必要だからです。
僕にとって音楽は素晴らしい親友で、毎日の意味を理解する方法なんです。夜働くのが好きで、そう、完全なカタルシスですね。本当に素晴らしくて、これまで以上に音楽を愛しています。
素晴らしい先生がいて、読む本なんかを教えてくれるんですが、聞いたことのなかった13世紀のルーミーという詩人のことを教えてくれました。読み始めると、本当に人生やものの見方を変えてくれたんです。
The Guest Houseという詩があります。自分が家であると想像して、毎朝新しいものがドアをノックしてくるんです。挑戦であったり、素晴らしいものだったり、恐ろしいものだったり。詩の要点は、何がやってくるとしてもそれを歓迎しようというものです。それは自分にとって完全に新鮮な人生観でした。
それが全てを変えました。彼の作品を沢山読み漁って、今も読んでいます。起こったこと全てを受け入れようということなんです。それはその頃書いていた音楽に浸透しています。
“Always In My Head” 安いヤマハのキーボード、あるべきじゃない音、子供達
“Magic” 友達としてもバンドとしてもお互いのために何でもやる。
“Ink” “See You Soon”の弾き方を思い出そうとしていて出来た曲。
“True Love” ジョニーへの愛、ティンバランドとのコラボ、大勢ではなく一人に対して。
“Midnight” 歌詞はレナード・コーエンのAnthemで知ったルーミーの引用、サウンド、アルバムの到達地点
“Another’s Arms” カニエと働いているマイク・ディーン、ヒップホップの影響、女性の声の謎
“Oceans” 桟橋を通って旅にに出るイメージから、信頼について歌った曲